相続登記の基礎知識と手続きの流れ

この記事では、相続登記についての基礎知識と手続きの流れについて分かりやすく解説します。初めて相続登記をする方や役所手続きに苦手意識のある方に向けて、具体的な手続きのステップや注意点をお伝えします。

相続登記とは

不動産の所有者が亡くなった時、新しい所有者を決めて名義の書き換えをするのが相続登記

相続登記とは、ザックリ言うと以下のとおりです。

  1. 不動産の所有者が死ぬ
  2. 身内など不動産の権利を新たに得た人(相続人)の名義に書き換える

この名義書換が法務局でなされます。

これが相続登記です。

相続登記の必要性

法律で義務化されたけど、実際のところはこの先未来に子供や孫とかに迷惑をかけないため、というのが大きな必要性かも

相続登記は放置すると罰金みたいな過料が取られます。10万円以下です。

なので放置するとお金が持っていかれます。

しかし、相続登記にはお金がかかります。司法書士に依頼すると、普通の家庭の資産規模でだいたい10万円はかかるのが一般的(不動産の価値がデカいともっともっと高くなります)。

自分でやっても1~5万円はかかります。税金がかかるので。

となると……

10万円以下の過料を支払っても対して腹は痛まないのでは??

となります。

では本当に必要とされる場面は何か?というと不動産を売却したい時くらいなんです。

不動産を売却するのに相続登記が必要な理由

不動産は過去の名義人の遍歴を記録しないといけません。死んだ人から買い主に名義が移動することはありません。死んでいると契約ができないので。契約は相続人しかできません。だから必ず相続人の所有物になってから買い主に移るため、相続登記で相続人名義に書き換えるのが必須となります。

不動産を売却する予定がないとなると、特段相続登記をしないと困ることは過料以外にありません。

じゃあ売却予定はないし相続登記を放置しても最悪10万円払えばよくない?

となりますが、相続登記は放置すると自分の子供など下の世代に迷惑をかける可能性が高くなります

ある男性(兄弟他に2人)が、妻を先に亡くし子供3人がいる状態で、自分の父親からの相続登記をしないまま亡くなった。

すると、男性と兄弟2人の相続人が、男性の兄弟2人+男性の子供3人となります。

このように世代をまたいだ相続人構成は揉める、話がまとまらないケースが非常に増えます

相続登記の必要性というのは、実際のところ次の世代に迷惑をかけないため、というのが一番大きな理由なんです。

相続登記の手続きの流れ

相続登記の流れだよ。基本は戸籍謄本を集めること。これがほとんど。後は事務作業だよ

不動産の登記名義人が死ぬ

住んでいる人ではなく、登記されている所有者が対象です。

相続人を確定する(戸籍謄本の収集にて)

法律に従い相続人を確定させます。一般的には家族内ですが、複雑になると疎遠な人まで参加することになります。戸籍謄本を集めて法的に相続人が誰かを証明する作業を始めます。

誰が新しい名義人になるか決める

相続人が1人しかいないなら自動的にその人です。複数人いる場合は誰が名義人なるか話し合って決めます。複数人共有もあります(おすすめはしませんが)。

登記に必要な書類の作成と収集

法務鏡に申請するための書類を集めたり作ったりします。

法務局に登記申請

相続内容を記した書面等を提出します。

数日~1週間ほどで登記完了して相続登記終了

書面に不備がなければだいたい1週間くらいで完了します(混んでいるときはもっとかかることがあります)。

相続登記に必要な書類と手続きのポイント

書類でメインなのは戸籍謄本を集めること。ここがほとんど!申請書は雛形があるから当てはめればいいだけ

相続登記の肝は戸籍謄本を集めきることです。これができれば後は問題ありません。

登記申請書

書き方は決まっているので、それに従い記載します。雛形はネットにもたくさんあります。

雛形に下記で揃えた書類の記載を書き写していく感じです。慣れないと難しく感じますが、書き方のルールがあるだけで書く内容自体は普通です。

戸籍謄本(亡くなった人の)

不動産の名義人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍などと呼ばれるもの)を集めます。

本籍地の市町村役場に請求します。価格は主に1通750円。

本籍地は人生の間で何回か変わることが多いため、各本籍地の役所に請求します。郵送でO.K.

集める理由は、この人の子供や養子などが誰か?他にいないよね?というのを証明するためです。

ぶっちゃけると、家族が知らない隠し子みたいな人が出てくるケースも本当にあります。

だいたい3~5通くらい。多い人は10通以上になることもあります。

役所に対しては、「この人が亡くなったので相続登記をする。この人に関するこの役所で取れる分全ての戸籍等を出してほしい」みたいに伝えれば、その役所で取れる分全てが出てきます。そこから違う市町村の記載を見つけて辿っていきます。

住民票の除票

名義人が亡くなっている記載のある住民票です。登記簿に記載されている住所と一致するように集めます。

本籍地と登記簿の住所が同じなら不要ですが、だいたい違うことが多いので普通取得することが多いです。

戸籍の附票というものでもいけます。

1通200~300円です。

相続人の戸籍謄本

話し合って誰の名義にするか?を決めたときは相続人全員の戸籍謄本が必要です。

遺言書で指定された人の場合はその人だけでO.K.

亡くなった人の相続人であり、今も生きている人ということを証明するためです。

1通450円。

名義人となる人の住民票

登記簿に書き込むための住所氏名をハッキリさせるためです。

1通200~300円。

遺産分割協議書

誰がどの不動産の名義人なるか?を話し合って決めたよ!という内容の書類。書式はだいたい決まっています。

これには実印を押す必要があります。

自作なのでお金はかかりません。

印鑑証明書

上記の遺産分割協議書に押した印鑑が、本当に実印ですよ!というのを法務局の人に分かってもらうために取得します。

1通200~300円。

固定資産評価証明書

不動産の固定資産税を計算するための元となる価格が載った書類です。市町村役場発行。

毎年5月くらいに来る固定資産税の払込書についてくる評価額が掲載された細長い紙でもいけます。コピーを提出します。

相続登記の費用と所要時間

普通の一般家庭なら司法書士に依頼して10万円前後から。だいたい15万円まで。20万円はあんまり見ないかな?もちろん条件によるよ

費用の内訳

相続登記は以下の費用がかかります。

  1. 登録免許税(いわゆる印紙代)…数千円~5万円くらいが普通の家庭では多いかな?
  2. 戸籍謄本等(戸籍、住民票とか役所で取るやつ)…1万円いかないことがほとんど数千円
  3. 郵送費(郵送で戸籍取得したり登記申請したり)…2,000円もあれば
  4. 司法書士報酬(専門家に手続き一式を任せる場合)…5万円くらいから

普通の家庭の相続登記にかかる費用総合計

不動産は住宅地の一戸建て1つ。もしくはマンション一室。みたいなよくある不動産なら2、3万円くらいからかと。

費用の大半を占める登録免許税は不動産の価値に掛け算してはじき出します。

  1. 一等地(地価が高いエリア)
  2. 土地が広い
  3. 数が多い
  4. 家が新しい・デカい

といった条件になると登録免許税がそれだけ高くなります。

普通のご家庭なら司法書士に依頼して、諸経費込みで10万円前後からで収まることが多いです。20万円には滅多に行かないです。

ただウチは田舎だから~みたいに、あまり費用がかからないと思っていても実際は相当かかってしまうケースもあります。後自分の価値観と違うことがありますからね。

自分で初めて相続登記するなら1ヶ月以上頑張る覚悟を

相続登記は結構時間がかかります。時間がかかる理由は戸籍謄本を集めること。ほぼこれです。

ただ慣れていない初めての経験なので、調べたり間違えてやり直したりが多くなります。一番シンプルな内容の相続登記でも、やり始めてから申請まで1ヶ月以上かかることはザラ

法務局の無料相談に何回も通う人だと2ヶ月とかかかるかも。

司法書士に任せても1ヶ月待たされることは普通にある

司法書士は相続登記手続きに慣れていますが、それでも戸籍謄本の収集に関しては時間がかかります

どうしても他府県レベルになると郵送で取得することになるのですが、最近の郵便で遅いじゃないですか?昔よりさらに往復に時間がかかるため、一役所につき丸1週間かかります。

次に請求するべき役所はその返ってきた戸籍を見ないと分からないので、また1週間待ちなどが連続します。

そういったことがなければ、書類がスコーンと揃っていれば2週間くらいで十分出来上がります。

なので司法書士に依頼するのは、時間短縮というより楽できるかどうかです。また、不動産売却など予定日が決まっているときに、その日までに相続登記を完了させたい確実性が依頼のメリットです(自分でやるとミス多発で遅れることあり)。

相続登記を進めるためのアドバイス

別に得しないし法律で義務化されたから仕方なく……という人が増えるね。でも関心がある今のうちだよ!後回しにしたら後で子供や孫が困るよ

関心がある今がラストチャンス

相続登記はマイナンバーカードみたいにポイントがもらえるわけでもないし、お金も時間も取られて別に得することは何もありません。

そんな作業なので相続登記は面倒です。

しかし今、こういったWEBサイトを見ているのなら、今が相続登記ができるラストチャンスかもしれません。

だって関心や義務感がある今でないと、この先こんな面倒なことできそうですか?

司法書士にアポ取るのもめんどいでしょ。

後々やらなくちゃならないんです。子供だったりはたまた孫だったりが。それで迷惑かけるくらいなら今やっときましょう。

中途半端な状態で司法書士に依頼は損するだけ

とりあえず自分でやってみて、断念して司法書士に任せるという人もいます。

自分で集めた戸籍などがありますが、正直それでは司法書士の報酬は安くなりません。実費に毛が生えた程度しか安くならないです。

戸籍謄本一式が揃っているなら多少安くなります。

ですが中途半端な状態で依頼して、ここまでやったから半額にして!というのは無理です。

結局、中途半端に苦労して余計な時間と疲労を得ただけになり、最初から司法書士に依頼しておけば……という人も結構います。

だから自分で相続登記できるのかどうか?は、こういったWEBサイトなりを見て冷静に判断してください。それでいけそう!と思えばやりきってもらえれば。

実際のところ、やっていることは何も難しくないんです。知らないからストレス溜まるだけの作業です。