相続登記に必要な書類とその取得方法

概要: この記事では、相続登記に必要な書類とその取得方法について詳しく解説します。相続登記の書類について詳しく知りたい方や役所手続きに苦手意識のある方に向けて、具体的な書類の種類と取得方法を分かりやすく説明します。相続登記手続きをスムーズに進めるための情報を提供します。

相続登記とは

土地や家の所有者(名義人)が亡くなると、相続人の人に権利が移るよ。その記録を国に申請するのが相続登記だよ

相続登記とは、一般的に不動産の名義人が亡くなったことで必要となる、新名義人への名義変更手続きのことです。

普通の一般家庭だと、だいたいは実家を家族の誰か、もしくは家族全員で相続登記します。

相続登記の必要性とメリット

ぶっちゃけ放置していても自分はそんなに困らないんだ。でも法律で義務化されたから10万円以下の過料ペナルティは発生するよ。それよりもその先の未来。家族が本当に困るから相続登記してね

相続登記は法律で義務化されました。ざっくりと死亡から3年以内に相続登記しないと10万円以下の過料が取られるかもしれません。

また、相続登記は放置すると後で手続きが非常に面倒になり、費用はもちろんのこと心労が半端なくかかります。

特に下の世代に持ち越せば持ち越すほど大変になるので、思い立った時に相続登記をやっておくことで家族、子孫に迷惑をかけないで済みます。

相続登記に必要な書類の概要

相続登記って何だ?と言うと亡くなった人の戸籍謄本を集めることと言っていいくらい。後はどうにもでもなる!普通の一般家庭ならね

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)

不動産の名義人が生まれたときから亡くなるまでの一生が分かる分の戸籍謄本が必要です。

実際には除籍謄本(その戸籍に誰ももういない状態)、改製原戸籍謄本(法律の改正で新しく書き換わった前のもの)がメインとなります。

取得理由名義人の一生を証明することで、子供の有無など相続人が誰か?をハッキリさせるためです。

亡くなった人の本籍地入り住民票(除票)

本籍地と不動産登記簿記載の名義人住所が同じなら不要です。

死亡届を役所に出すと住民票に死亡記載がされます。これでその人の最終住所が決定します。

戸籍の附票という歴代の住所が記載された書類でも代用できます。

取得理由不動産登記簿には住所氏名が記載されているので、相続登記する対象者本人かどうかは住所氏名の一致で確認します。戸籍謄本には住所がありません。そこで本籍地記載のある住民票と併せることで同一人物であることを証明します。

新名義人となる相続人の戸籍謄本

名義人が亡くなった日以降に取得した戸籍謄本が必要です。

取得理由名義人が亡くなった時に存命していることと相続人であることを証明します。

新名義人となる相続人の住民票

取得理由不動産登記簿に記載する住所氏名を証明するため。

固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書の明細書)

毎年納める必要がある不動産の固定資産税を計算する元となる評価額が記載された書類です。

取得理由登記にかかる登録免許税を計算するため

遺言書(ある場合)

自筆証書遺言と言われる、亡くなった人本人が書いて自宅などで保管していたタイプは検認と呼ばれる裁判所の手続きが必要です。

取得理由基本的に遺言書がある場合は遺言書の内容通りに相続登記します

遺産分割協議書(複数人の相続人がいて名義人にならない人が存在する場合)

亡くなった名義人が父で、母と自分と妹が相続人。名義人は母だけ。という場合は一般的に遺産分割協議を行い、誰が新名義人になるか?という証明書を作ります。

取得理由誰が新名義人になるのかを証明。

相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議がある場合)

取得理由遺産分割協議書に押す実印が実印であることを証明するため

新名義人以外の相続人全員の戸籍謄本(遺産分割協議がある場合)

取得理由遺産分割協議に参加した人が相続人としての権利があることを証明するため

相続登記に必要な書類の取得方法

役所手続きって分かんないよね。でも戸籍は本籍地の役所。住所が書いてある書類は住所地の役所。不動産に関しては所在地の役所。難しくないよね?

印鑑証明書以外は基本的にどれも郵送で取得可能です。

役所発行の書類は以下のとおり。

  1. 戸籍:本籍地の市町村役場(住民課)
  2. 住民票・印鑑証明書:住所地の市町村役場(住民課)
  3. 評価証明書:不動産の所在地の市町村役場(資産税課など)

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)

取得場所亡くなった人が過去に在籍した本籍地の市町村役場

亡くなった時はA市、その前はB市、さらに前はC町。

と過去に在籍した本籍地に対して「相続登記に使うため、◯◯の出生から死亡までの戸籍謄本等」と請求すると、その役所で出る分全てが発行されます。

※遺言書がある場合は亡くなったことが分かる最後の戸籍謄本があればO.K.です。

亡くなった人の本籍地入り住民票(除票)

取得場所亡くなった人が過去に在籍した本籍地の市町村役場

◯◯(亡くなった人の名前)の死亡の記載があるもの、と伝えておくといいです。省略されて出てくることがあるからです。

新名義人となる相続人の戸籍謄本

取得場所新名義人となる相続人の本籍地の市町村役場

新名義人となる相続人の住民票

取得場所新名義人となる相続人の住所地の市町村役場(住民登録している役所です)

固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書の明細書)

固定資産税評価証明書は、4月1日~3月31日の期間が有効期間です。

3月31日発行の証明書は4月1日に使えませんので注意。4月1日以降に登記申請する場合は取り直す必要があります。

納税通知書の明細書は届いた年をまたいで翌年の3月末まで申請に使えるということです。

取得場所固定資産税評価証明書:不動産がある場所の市町村役場

取得場所納税通知書の明細書:毎年5月頃に届く役所からの封筒に入っています

遺言書(ある場合)

取得場所自筆証書遺言(保管制度利用なし):自宅など書いた本人が保管している場所にあります。貸金庫がある人は貸金庫に保管しているケースは多いです(裁判所の検認手続をお忘れなく)

取得場所公正証書遺言:これも本人が保管しています。ない場合でも書いたような話を聞いた場合、書いてあるのでは?と思った時は公証役場に申し出ると公正証書遺言があるかどうか調べることができます

取得場所自筆証書遺言(保管制度利用):法務局で自筆証書遺言を保管してもらえるサービスを書いた本人が利用している場合は遺言書が法務局で保管されています。さらに本人が死亡時に通知するサービスを指定したいた場合は、本人が指定した一人に遺言書がある旨の通知が来ます

遺産分割協議書(複数人の相続人がいて名義人にならない人が存在する場合)

取得場所作成します。本人たちでもいいし、司法書士に依頼した場合は作成してもらえます

新名義人以外の相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議がある場合)

取得場所各相続人の住所地の市町村役場

新名義人以外の相続人全員の戸籍謄本(遺産分割協議がある場合)

取得場所各相続人の本籍地の市町村役場

書類取得のポイントと注意事項

戸籍なんかは相続登記に使うって伝えればいい具合に揃うよ

亡くなった人の戸籍謄本は遡っていく

亡くなったときの本籍地から戸籍謄本を取り寄せると、以前の本籍地が記載されています。

例えば番地や町が違うだけならそこで揃って発行されますが、他都道府県など違う市町村役場の本籍地が書かれている場合は、その市町村役場に同様に請求していき出生まで遡っていきます。

出生まで取れなくても13歳くらいまでならO.K.

亡くなった人の戸籍謄本を出生時まで取得する理由は、他に子供や養子がいないか?といったことを明確にするためです。

子供を作る生殖能力は13歳から考えられるということ、この年齢辺りまで取得できたらO.K.です。ただ基本、出生まで取りますし昔の放置していた相続登記でない限りはだいたい出生まで取れます。

亡くなった人の本籍地が分からない場合

今は運転免許証に本籍地が書いていないので親や自分の本籍地が分からない人が増えました。

そんな場合は、どのみち取得することが多い亡くなった人の住民票を取れば本籍地が分かります。

その際、請求するときに本籍地の記載を要として申請してください。何もしないと本籍地はプライバシー保護の観点から表示されません。

亡くなった人の戸籍謄本を請求する時のコツ

「◯◯が亡くなったので相続登記に使います。貴庁で取得可能な◯◯の戸籍謄本全てを発行してください」

と伝えれば役所の人も何が必要なのか分かるので漏れがありません。

相続登記の書類取得を誰かに頼む方法

普通の一般家庭の相続登記なら司法書士報酬は高くならないよ。数万円は安くないけど、自分で相続登記した人は最初から頼めば良かったって人も多いんだ。結構地味に頭と心が疲れるから……

司法書士に相続登記を依頼したら印鑑証明書以外は取ってもらえる

司法書士は相続登記に慣れており、さらに職務上請求書という資格者しか使えない書面で戸籍謄本などの代理申請ができます。

印鑑証明書は印鑑カードが必要なのと郵送請求ができないのでご本人しか取れませんが、それ以外の必要書類は遺産分割協議書含めて用意してもらえるので非常に楽です。

戸籍謄本等だけを集めてもらうなら行政書士

相続登記の申請は自分でやる。戸籍謄本だけ集めてほしい。そんな場合の依頼先は行政書士です。

ただ実際にこのような依頼をする人はほとんどいません。相続登記は戸籍謄本などを集めるのがメインなので、そこでお金を払うならついでに申請までしてもらったほうが楽だし費用もそんなに変わらないからです。

法務局は書類集めしてくれないので注意

法務局は国の機関なので戸籍等を扱う役所とは業務が違います。

法務局の無料相談で相続登記のやり方を相談したり、書類の請求先を教えてもらったりはできますが、請求作業を代行したり代わりに取得してもらうといったことはできませんのでご注意を。

相続登記=戸籍の収集!これができれば後は何とかなる

相続登記とは亡くなった人の戸籍を集める作業で占められるよ。自分の親や家族の戸籍なんだから集めること自体特別なことじゃないんだ

相続登記は結局のところ戸籍謄本などを集める作業が90%です。

特に普通の一般家庭ならそう。

ややこしい相続登記になっても戸籍謄本の収集がメイン。それに加えて疎遠だったり全く知らない人に連絡して実印押してもらって……といった骨が折れる作業がありますが、普通の一般家庭なら家族で済むのでこれもありません。

慣れていないと戸籍謄本などはアレルギー出そうですが、役所の書類と言っても自分たちのことが書かれているだけです。それを集めて相続人が誰か?ということを証明できれば、後はA4用紙に決まり決まった文言を書けばだいたい相続登記ができるようになっています。